GO FOR KOGEI 2025 シンポジウム
工芸の新たな伝統への挑戦:領域を超えた現代アーティストの活力に満ちた活動性
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GO FOR KOGEI 2025 シンポジウムヴィクトリア&アルバート博物館(V&A)で開催される本シンポジウムでは、工芸におけるジェンダーの壁を破り、領域分野を越える現代アーティストの活力に満ちた創造性に焦点をあてる。現代の欧米で議論されている「工芸」の疎外された状態とは異なり、日本において「工芸」は国家にとって非常に重要なものである。1955年以来、日本の制度と国の「伝統」は、国際的に高く評価されている人間国宝制度を長くその中心においてきた。そしてこの男性中心の制度は国立美術館や海外の主要美術館における「日本の工芸品」コレクションを形成するとともに、性差別化された言説と歴史を日本の「伝統」規範として強調してきた。しかし、「工芸」をめぐる現代の議論やアクティビズムがますます問題を是正するにつれ、日本もまた、ゆっくりと静かにではあるが、それに対応しつつある。
まず本シンポジウムでは、こうした規範的な制度の外側で、グローバル且つローカルに独自の活動を繰り広げる女性アーティストに焦点を当てる。彼女たちは、創造的な作品に斬新なアイデアと表現形式を持ち込み、日常生活に密接に関わる身体、装飾、物質性への主観的なアプローチを通して、伝統的な工芸の領域に対して挑戦している。第二に、本シンポジウムでは、グローバルな「ファインアート」の実践と、都市の消費社会における今日の生きた文化としてのアニメやマンガを含むサブカルチャーからインスピレーションを得ているアーティストに焦点を当てる。彼らは、19世紀後半、欧米列強の圧力の下で日本が採用してきた視覚文化の領域区分、そしてその残存である「ファインアート」と「工芸」の西洋的ヒエラルキーと制度に挑戦している。
本シンポジウムでは、アーティスト、キュレーター、研究者を含む発表者たちが、ジェンダー、領域、地域文化の価値、現代の視覚文化といった観点から、工芸の現在地について分野横断的な議論を展開する。したがって、本シンポジウムには次の2つの目的がある。地域史の観点からポストコロニアルな日本の「工芸」の状況を論じることと、「工芸」のポストモダン的位置づけに関する現代の欧米の議論を取り上げることである。これらの問題は、しばしば専門的な地域研究、または現代の視覚文化論議として切り離されがちであるが、実際には絡み合っている。脱植民地的なアプローチを通して様々な糸を解きほぐし、それらが実は同じコインの裏表であることを明らかにすることを目指す。基調講演者のグレン・アダムソンとモデレーターのターニャ・ハロッドが学術的な議論をリードし、他のゲストスピーカーはグローバルな工芸の実践者や推進者を代表する。そのため、このシンポジウムは「工芸」の現代的な問題やその位置づけに関心のある聴衆や、「工芸」をめぐる日本の地域特有の課題に関心のある聴衆に語りかけるものとなるだろう。Artistsグレン・アダムソン(キュレーター・アット・ラージ、ヴィトラデザインミュージアム)
菊池裕子(V&A研究所 学術部長)
山田雅美(V&Aアジア部門キュレーター)
佐々木類(アーティスト、ガラス)
スーザン・ロス(アーティスト、漆)
牟田陽日(アーティスト、陶芸)
細野仁美(アーティスト、陶芸)
ターニャ・ハロッド(工芸史研究者・評論家、Journal of Modern Craft共同編集者)
岩村遠(アーティスト、陶芸)
川井雄仁(アーティスト、陶芸)
シゲ・フジシロ(アーティスト、ガラス)
アルベルト・カヴァッリ(ミケランジェロ財団エグゼクティブ・ディレクター)[Homo Faber Project]
秋元雄史(GO FOR KOGEIアーティスティックディレクター)Overview- 日時 2025年7月24日(木)
- 時間 10:00-17:30
- 会場 Hochhauser Auditorium、V&A South Kensington
- 入場料 5ポンド
- 主催 ヴィクトリア&アルバート博物館、認定NPO法人趣都金澤
- 助成 文化芸術活動基盤強化基金