GO FOR KOGEI 2021
工芸の時代、新しい日常
  • [左]桑田卓郎《無題》2021年 磁土、釉薬、鋼鉄、顔料、ラッカー 作家蔵[右]桑田卓郎《無題》磁土、釉薬、鋼鉄、顔料 2015年 作家蔵 展示風景「GO FOR KOGEI 2021」(大瀧・岡太神社、2021年)Photo: Katano Masahiro
  • 四代田辺竹雲斎《Wormhole》2021年 虎竹 作家蔵 展示風景「GO FOR KOGEI 2021」(勝興寺、2021年)Photo: Katano Masahiro
  • nui project(しょうぶ学園)《Internal Truth》2021年 糸、布 作家蔵 展示風景「GO FOR KOGEI 2021」(勝興寺、2021年)Photo: Katano Masahiro
  • [左]青木千絵《BODY 18-2》2018年 漆、麻布、スタイロフォーム 作家蔵[右]青木千絵《BODY 17-1》2017年 漆、麻布、スタイロフォーム 作家蔵 展示風景「GO FOR KOGEI 2021」(勝興寺、2021年)Photo: Katano Masahiro
  • [右]沖潤子《time machine》2017年 木綿、麻、絹 作家蔵 展示風景「GO FOR KOGEI 2021」(那谷寺、2021年)Photo: Katano Masahiro
  • 佐々木類《水の記憶》2021年 ガラス、蓄光ガラス混合物、ライト 作家蔵 展示風景「GO FOR KOGEI 2021」(那谷寺、2021年)Photo: Katano Masahiro
  • 牟田陽日《渾々と》2021年 磁器、ガラス、布、綿 作家蔵 展示風景「GO FOR KOGEI 2021」(大瀧・岡太神社、2021年)Photo: Katano Masahiro
  • シトウレイ×高橋悠眞《re-LIFE》2021年 漆、陶器 作家蔵 展示風景「GO FOR KOGEI 2021」(ノエチカ、2021年)Photo: Katano Masahiro
  • 皆川明×ピーター・アイビー《欠片が濾過する光の境界》2021年 布、ガラス 作家蔵 展示風景「GO FOR KOGEI 2021」(SKLo、2021年)Photo: Katano Masahiro
  • 鬼木孝一郎×竹俣勇《灯箱》2021年 真鍮 作家蔵 展示風景「GO FOR KOGEI 2021」(SKLo、2021年)Photo: Katano Masahiro
GO FOR KOGEI 2021
GO FOR KOGEI 2021では、「現代アート化する工芸」と「デザイン化する工芸」を紹介すべく、北陸三県(富山、石川、福井)の5会場にて特別展を開催しました。[特別展Ⅰ]では、⼯芸、現代アート、アールブリュットの世界で活躍する総勢20名のアーティストが参加し、⽂化財指定を受けた建造物と呼応するサイトスペシフィックな作品展示を行ないました。もう一方の[特別展Ⅱ]では、各界で活躍するディレクターやデザイナー13名と、地域の伝統を担う工芸作家や職人とでチームを結成し、マーケティングに依らない、暮らしにこだわる視点からプロダクトを制作しました。また、エリア内で開催される7つの「工芸祭」および約90箇所にのぼる工芸工房をネットワーク化することで、国内における工芸の動向を他に先駆けて発信するプラットフォームの構築を目指しました。

[特別展Ⅰ]工芸的な美しさの行方 工芸、現代アート、アール・ブリュット
 特別展I「工芸的な美しさの行方 工芸、現代アート、アール・ブリュット」では、2012年に金沢21世紀美術館において開催した「工芸未来派」展で見せた現代アート化する工芸の動向をさらに発展させて、素材とその扱いにこだわった工芸、現代アート、アール・ブリュットの三者を紹介していきます。
 他カテゴリーとの接近によって更新される工芸や、素材と技法という点から眺めたときに浮かび上がる現代アートやアール・ブリュット作品を、対立軸としてではなく、価値や方法を共有するものとして扱い、そして、“素材と技法の関係”を「うまい」「下手」という価値観を越えた物と人とが織り成す創造的な行為として捉え、新たな関係として三者を見ていきます。
 通常、工芸的価値のヒエラルキーでは最上位と考えられる高度な職人技術ですが、それだけを工芸の正当な価値として扱うのではなく、それと対立するような“反技術”や、子供の遊びのような “非技術”といったものを含めて、人と物の関わりがつくり出す表現の可能性として紹介していきます。またそれは、工芸に限らない、広く「つくる」という作業の再評価でもあります。
 会場となる勝興寺(富山県高岡市)、那谷寺(石川県小松市)、大瀧神社・岡太神社(福井県越前市)は、どれも文化財指定された歴史的建造物であり、その地の歴史や風土を見事に体現しています。そこに総勢20名の作家によるサイトスペシフィックな作品が展示されます。場所と作品の二者による生き生きとした空間が誕生することでしょう。

[特別展Ⅱ]工芸× デザイン 13人のディレクターが描く工芸のある暮らしの姿
 特別展II「工芸×Design 13人のディレクターが描く工芸のある暮らしの姿」は、日常感覚を踏まえて、いかに暮らしの中で必要、かつ愛着が持てる生活道具をつくり出せるかという視点から、13名のディレクターと13組の工芸作家や職人、生産者がチームを組んで、新たなプロダクトを生み出していくプロジェクト型の企画展です。
 近代デザインや工芸史を振り返ると、人口増加と生活水準の向上の著しかった1940年代、50年代、60年代は、時代の要請に応えるべく、量と質に対応したものづくりを行なった時代といえます。
 工芸とデザインは互いに交流しながら社会に適応した生産方法を生み出していきました。この時期の工芸とデザインの関係は創造的で、後に名作と言われる優れた工芸品、デザイン・プロダクトをつくり出しています。いまではデザインか、工芸か、といった狭いカテゴリーの中で語られがちですが、実際はその中には単純に収まらない豊かさをもった存在です。この時代のものづくりに倣って考案されたのが本展です。
 こだわりのひとつ目は、使う側の視点を大切にするものづくりをするということ。それもマーケティング的な手法ではなく、暮らしにこだわる個人の視点を重視して「こんなものがあったらいいな」と、ごく個人的な着眼点から始めます。ここでは主に13名のディレクターがその役になり、自分が欲しいもの、使ってみたいものを発想します。一見趣味的に聞こえるかもしれませんが、多様なライフスタイルの現代においては、最も素直な制作根拠の見つけ方でもあるでしょう。
 ふたつ目は、デザインと手工業的な制作を結びつけること、あるいは異なったキャラクター同士でチームを組んで、性質の異なる視点をつくりだすこと。指示する側、指示を受ける側という上下のヒエラルキーを越えたところで、互いの特徴を見極め、仕事を分担し、制作すること。不透明なところが生まれますが、あえてそれを許容し、新たな制作スタイルを創造するためにこのような機会をつくります。プロダクトである以上、価格もあるので、それも同時に検討します。このようにして生まれたプロダクトを、開発時のアイデアや制作ノートとともに展示します。優れたデザイナー、文化的リーダー、工芸作家、職人によるプロセスを大切にしたプロダクトづくりです。
Artists
[特別展Ⅰ]工芸的な美しさの行方 工芸、現代アート、アール・ブリュット
青木千絵、伊藤慶二、九代岩野市兵衛、沖 潤子、金重有邦、桑田卓郎、神代良明、佐々木 類、澤田真一、nui project(しょうぶ学園)、須藤玲子、田中信行、田中乃理子、四代田辺竹雲斎、中田真裕、中村卓夫、八田 豊、牟田陽日、山際正己、横山翔平

[特別展Ⅱ]工芸× デザイン 13人のディレクターが描く工芸のある暮らしの姿
稲葉俊郎×シマタニ昇龍工房、鬼木孝一郎×竹俣勇壱、シトウレイ×高橋悠眞、secca×山近スクリーン、中田英寿×坂井直樹、中村弘峰×木田製陶、原 研哉×谷口製土所、ブライアン・ケネディ×中田雅巳、細尾真孝×滝製紙所、皆川 明×ピーター・アイビー、森岡督行×長田製紙所、森 義隆×富山ガラス工房、箭内道彦×東 節子
Overview
  • 会期 2021年 9月10日(金)‒10月24日(日)[45日間]
  • 会場 勝興寺(富山県高岡市)、那谷寺(石川県小松市)、大瀧神社・岡太神社(福井県越前市)、SKLo、Noetica(石川県金沢市)
  • 主催 北陸工芸プラットフォーム実行委員会、文化庁、独立行政法人日本芸術文化振興会
  • 主管 認定NPO法人趣都金澤
  • 共催 金沢21世紀工芸祭実行委員会、クタニズム実行委員会、ガラスフェスタ(富山ガラス工房)、高岡クラフト市場街実行委員会、RENEW実行委員会、クラフトフェス実行委員会
  • 特別協力 富山市、高岡市、能美市、小松市、越前市、北國新聞社・富山新聞社
  • 協力 勝興寺、那谷寺、大瀧神社・岡太神社
  • 特別協賛 ビーインググループ、マツモトインベストメント株式会社、三谷産業株式会社、樂翠亭美術館、リバーリトリート雅樂倶
  • 後援 富山県、石川県、福井県、富山経済同友会、金沢経済同友会、福井経済同友会、金沢市、JR西日本、北日本新聞社、福井新聞社、富山青年会議所、高岡青年会議所、金沢青年会議所、小松青年会議所、武生青年会議所、公益社団法人日本建築家協会北陸支部
  • 令和3年度日本博主催・共催型プロジェクト