GFK2023
GO FOR KOGEI 2023 物質的想像力と物語の縁起― マテリアル、データ、ファンタジー
展覧会概要
展覧会タイトルの「物質的想像力」とは、フランスの科学哲学者、ガストン・バシュラール(1884-1962)の著書『水と夢: 物質的想像力試論』の中で物質(マテリアル)を詩学的な視点から論じる際に使われた用語です。人間の心理や文化における水の象徴的な意味を探求する哲学書である本著の中で、バシュラールは主観的認識から幻想性や独創性を取り上げ、多くの人々が深層で共有するイメージの問題として、物質をきっかけにする想像力について論じています。この「物質的想像力」という言葉をもとに、詩学としての芸術について、あるいは個の表現について考察していきます。
こういった視点が作品上で成り立つためには、作者の生の反映として作品を捉え、またその制作を個々の物語を紡ぐ行為として捉えていく必要があります。タイトルにある「縁起」とは、作者のそのような行為であり、それを突き動かす「何か」です。それはまったく個人的であると同時に世界的でもある、名状し難い「何ものか」なのです。
本展は、富山市の中心部から富山湾まで約5 kmに渡る富岩運河沿いにある3つのエリアを船で辿りながら鑑賞します。環水公園や美術館、閘門、伝統的な街並みなどで工芸、現代アート、アール・ブリュットを跨ぐアーティスト26名を紹介します。
水は多くの文化で生命、清浄さ、創造性、変容、無意識などの象徴として認識されています。「物質的想像力」と「水」という概念を頼りに作品を訪ね、内面と目前の外界と関わり、空想と現実の空間が象徴するさまざまな意味を感知する——この展覧会がそのための夢見る世界への扉となるでしょう。

展覧会の特徴
さまざまな作者の生き方が強く反映された豊かな表現
フランスの哲学者ガストン・バシュラールの「物質的想像力」という概念を下敷きに、絵の具やキャンバスに始まり、土、布、鉄など、様々な物質を使用する26名のアーティストを紹介します。工芸、現代アート、アール・ブリュットというジャンルを超え、作者の生の反映として、個の表現を追求した作品を紹介します。

生きる場所、創造の場所としての制作
アーティストの「制作」を、人間的経験を育む「時間」として捉えて、その表れを「作品」と位置付け紹介します。アーティストの表現活動を特殊な芸術行為と考えるのではなく、一般的な社会課題と対応させ、鑑賞者と共有しうるものとして紹介します。

移りゆく風景とともに作品を楽しむ、鑑賞体験
水の都とも呼ばれる富山県富山市が舞台となる本展覧会では、これまで「GO FOR KOGEI」 で取り組んできた、地域の歴史・文化を象徴する場所でのサイトスペシフィックな作品展示をさらに深化させ、運河を中心に設定した展覧会場と作品を詩的・哲学的に関連づけます。「水」という概念を頼りに機能的な都市の運河に沿って作品を訪ね、内面化する風景をつくりだします。
Outline
GO FOR KOGEI 2023 物質的想像力と物語の縁起― マテリアル、データ、ファンタジー
展覧会名
物質的想像力と物語の縁起―マテリアル、データ、ファンタジー
会期
2023年9月15日(金)–10月29日(日)
時間
10:00-16:30(入場16:00まで)
会場
富山県富山市 富岩運河沿い(環水公園エリア、中島閘門エリア、岩瀬エリア)
休場日
樂翠亭美術館(水曜)富山県美術館(水曜、9/19)KOBO Brew Pub(火曜)ほか会期中無休 ※臨時休館・開館する場合もございます。Webサイト等をご確認のうえお出かけください。
チケット(ガイドブック付き)
一般 2,500円(前売り券 2,000円) 高校生 1,500円 (前売り券 1,000円) <オンライン販売>GO FOR KOGEI 2023 Webサイト https://goforkogei.com/ <会場販売>樂翠亭美術館(水曜休)、電タク、桝田酒造店 満寿泉
参加作家
板垣豊山、岩崎貴宏、上田バロン、O33、川井雄仁、川上建次、河部樹誠、 オードリー・ガンビエ、金理有、久保寛子、桑田卓郎、コムロタカヒロ、近藤高弘、 桜井旭、ささきなつみ、定村瑶子、長恵、辻村塊、野村由香 、葉山有樹、 平子雄一、古川流雄、増田セバスチャン、村山悟郎、横野明日香 、渡邊義紘(26名)
主催
認定NPO法人趣都金澤、独立行政法人日本芸術文化振興会、文化庁
共催
富山県、富山市、(公財)富山県文化振興財団
協力
富山県美術館、富山交通株式会社、酒商 田尻本店、北陸銀行岩瀬支店、樂翠亭美術館、株式会社桝田酒造店
連携
市場街、KOGEI Art Fair Kanazawa、ガラスフェスタ、KUTANism、千年未来工藝祭、富山市ガラス美術館、 ブールバールエリアマネジメント富山、RENEW
後援
JR西日本、富山経済同友会、富山商工会議所
委託
令和5年度日本博2.0事業(委託型)
Press Images
  • 貸出用画像1
    川井雄仁
    《Bireley's》2022年
    Photo: Jingu Ooki
    参考作品
  • 貸出用画像2
    コムロタカヒロ
    《Ancient dragon》 2021年 個人蔵
  • 貸出用画像3
    横野明日香
    《curve》2014年 作家蔵
  • 貸出用画像4
    増田セバスチャン
    《Polychromatic Skin -Gender Tower-》2022年
  • 貸出用画像5
    川井雄仁
    個展「粒の数だけ抱きしめて」
    KOTARO NUKAGA,tokyo
    2022年
    Photo: Osamu Sakamoto 
  • 貸出用画像6
    オードリー・ガンビエ
    《soft vases》 2022年
  • 貸出用画像7
    金理有
    《信楽狸変異体》 2018年 陶
  • 貸出用画像8
    久保寛子
    《やさしい手》2018年 鉄、ブルーシート
    おおさか創造千島財団蔵
    展示風景:「六甲ミーツ・アート芸術散歩2018」
    (六甲山カンツリーハウス、 2018年)
  • 貸出用画像9
    桑田卓郎
    《美濃焼》2023年
    Photo: Sudo Kazuya
  • 貸出用画像10
    近藤高弘
    《Reduction―波動―》2017年
    磁器錬込み、銀滴彩
    作家蔵
    Photo: Sylvain Deleu
    Photo Courtesy: Adrian Sassoon
  • 貸出用画像11
    辻村塊
    工房風景
  • 貸出用画像12
    野村由香
    《繰り返される営み》2019年
    六甲で採集した土、水、植物、土管、鉄、油圧ジャッキ、ラッシングベルト、車輪、鍬、バケツ、台車、手袋、手箕、トロ舟、一輪車、土嚢袋
    作家蔵
    展示風景:「六甲ミーツ・アート芸術散歩2019」
    (六甲山カンツリーハウス、 2019年)
  • 貸出用画像13
    板垣豊山
    板垣 豊山《Sleeping beauty》2018年
    油彩
  • 貸出用画像14
    上田バロン
    《Koh Samui -Coconut Island (Red Hood Girl And AI Bear On Coconut Island)》2019年
    展示風景:「Central Festival Samui」
    (Samui Island, Thailand、2019年)
  • 貸出用画像15
    川上建次
    《キカイダー01(未完)》
    未完
  • 貸出用画像16
    河部樹誠
    《首かり200余人》
  • 貸出用画像17
    定村瑶子
    《よう おいでた》2021年
    キャンバスに油彩
    作家蔵
  • 貸出用画像18
    長恵
    《天子のプレゼント赤ちゃん誕生》2014年
    箱・キャンバスに着色
    Photo Courtesy: Kushino Terrace
  • 貸出用画像19
    渡邊義紘
    《ゾウ》クヌギの葉
  • 貸出用画像20
    岩崎貴宏
    《Out of Disorder (Layer and Folding)》2018年
    作家蔵
    展示風景:特別展「跳躍するつくり手たち:人と自然の未
    来を見つめるアート、デザイン、テクノロジー」(京都市
    京セラ美術館、2023年)
  • 貸出用画像21
    O33
    《うつせみ−》 2022年 羊腸
    作家蔵
  • 貸出用画像22
    桜井旭
    《うみのいえの小さな山の中で》
    2022年 キャンバスに油彩
    作家蔵
  • 貸出用画像23
    ささきなつみ
    《リンジンの標本Ⅱ—「天」》
    《リンジンスーツ》
    《リンジンの標本Ⅲ—「開」》すべて2023年
    展示風景:KUMA experiment vol.9
    「pneuma -息衝く-」
    (クマ財団ギャラリー、2023年)
  • 貸出用画像24
    葉山有樹
    《有為転変図》2018年
    作家蔵
  • 貸出用画像25
    平子雄一
    《Gift 01》2020年
    キャンバスにアクリル絵具
    個人蔵
  • 貸出用画像26
    古川流雄
    《正午の灼熱》2015年
    布、ガラス繊維、顔料、木、ポリエステル樹脂
    作家蔵
  • 貸出用画像27
    村山悟郎
    《自己組織化する絵画<過剰に>》2016年
    織った麻紐にアクリル絵具
    作家蔵
  • 貸出用画像28
    四代 田辺竹雲斎
    《WORMHOLE》2021年「GO FOR KOGEI 2021」(富山県高岡市 勝興寺)
  • 貸出用画像29
    鴻池朋子
    《高松から越前 皮トンビ》2022年「GO FOR KOGEI 2022」(福井県越前市 大瀧神社・岡太神社)
  • 貸出用画像30
    皆川明×ピーター・アイビー
    《欠片が濾過する光の境界》2021年「GO FOR KOGEI 2021」(石川県金沢市 SKLo)
    画像全てMasahiro Katano