「GO FOR KOGEI 北陸で出会う、工芸の可能性(以下、GO FOR KOGEI)」は、工芸をアートやデザインに昇華させている“ものづくり”の一大拠点「北陸」から、その魅力を発信するプラットフォームです。


GO FOR KOGEI ロゴ

2023年には新幹線が小松まで開通、金沢港ではクルーズ船の受け入れの需要増加など、陸海空の交通インフラが進み、国内外の方に工芸を通じて北陸の土地を知って頂ける機会になります。

GO FOR KOGEIの大きな概要は4つ。
2020年8月から11月の間、6か所の歴史建造物で繰り広げる大型展覧会、作家や職人に出会える100か所の「工房見学体験」、工芸の新しい価値を創造する「工芸ハッカソン」に加え、6つの産地の工芸祭&Art Fairを同時開催します。

これは、北陸の3県がはじめて連携するという新しい試みになります。


それぞれの土地の個性を持つ北陸3県が連携し、発信力をあげていく

2020年2月24日月曜祝日、GO FOR KOGEIの始まりを期して冬の北陸では珍しい晴天のもと、石川県小松にある「こまつ芸術劇場 うらら」でキックオフフォーラムが開催されました。そのモデルツアー、フォーラムの様子をご紹介します。


会場「こまつ芸術劇場 うらら」前に掲げられた各地の工芸祭のぼり

北陸の職人・作家の工房を巡るモデルツアー「九谷焼編」

今回のフォーラムでは、日本を代表するグラフィックデザイナーの原研哉さんの基調講演、GO FOR KOGEIの監修兼キュレーターである東京藝術大学大学美術館館長 秋元雄史さんがモデレーターを務められました。先駆けてお2人が同行された工房見学体験のモデルツアーがプレス及び旅行会社向けに行われ、8月から11月の間、実際に見学体験が出来る2か所の工房を訪れました。


錦山窯 ギャラリースペース「MUTAN」外観

1か所目は1906年創業、4代に渡り作陶を続ける錦山窯のギャラリースペース「MUTAN」。 金泊を使った絵付けを得意とし、華やかな技術を間近で目にすることができます。九谷焼の原料である観音下石を壁面に使用した、SIMPLICITY 緒方 慎一郎さんによる企画設計・デザインも見所のひとつです。壁面には窓が一つもなく、屋根に一筋の外光のみを取り入れられたデザインは明るく華やかな九谷焼を見つめるのに最適な空間となっています。






人間国宝として認定されている3代目 吉田美統(みのり)さんの作品を見つめる原研哉さん(左)と秋元雄史さん(右)「金泊を贅沢に使用するのが父の特徴です」と4代目吉田幸央さん(中央奥)

2か所目は、1879年に創業した上出長右衛門窯。
職人が一点一線丹精を込めて制作する割烹食器は、東洋で始まった磁器の歴史を舞台に九谷古来の五彩が施され、古典的でありながら瑞々しさを感じられる九谷焼を提案されてます。
現在、6代目当主として窯の舵取りをされている上出惠悟さんは柔軟なアイデアで若い世代に向けて九谷焼を伝えられています。またアーティストとしても活躍されており、国内外で作品を発表され活躍中です。


九谷焼について言葉を交わす原研哉さん(左)と上出惠悟さん(右)


上出長右衛門窯の工房内を見学の様子

毎年5月には、絵付け体験や蔵出し市が楽しめる窯まつりも開催されてて大人気のイベントになってます。こちらも是非、上出長右衛門窯のサイトでチェックしてみてください。


自分たちが日本の国土を再発見し、次のビジョンを持つ

午後からは、こまつ芸術劇場うららでフォーラムが開催され、約350名多くの方々が県内外から訪れました。


会場外ギャラリーフロアでは、ワークショップを開催(九谷焼 色絵加飾/越前和紙 墨流し/高岡漆器 螺鈿ワークショップ)

フォーラムは三部構成になっており、第一部はグラフィックデザイナー原研哉さん「未来資源としての日本〜守り継ぎ、世界の豊かさに寄与するもの」をテーマにした基調講演が行われました。


原研哉さん基調講演「未来資源としての日本〜守り継ぎ、世界の豊かさに寄与するもの」

講演では、原研哉さんがJAPAN HOUSE 東京事務局クリエイティブ・ディレクターを務める外務省のプロジェクト「JAPAN HOUSE」 (*)のご紹介や、また昨年立ち上げられご自身が場所の選定、写真、動画、文、編集の全てを行う「低空飛行」のご紹介を交えられ、日本が自国の価値をどう捉えるべきかをお話いただきました。世界、日本の様々な場所を訪れられ、ご自身の目で見てらっしゃる原さんの言葉に会場は耳を傾けます。

「時代がグローバルになればなるほど、ローカルの土地の個性、固有の場所が大切になっていきます。日本は気候・風土・文化・食と素晴らしい文化が続いてます。こうして一つの国が存続してるのも大変稀なことです。これからの日本の産業はものづくりだけではなくて、価値づくりも必要な時代になります。経済的には弱くなっていきますが、ずっと大事に守り続けてきたものをそれぞれが誇りを持って自分たちが日本の国土を再発見し、次のビジョンを持つ段階だと思います。益々、観光産業が大切になっていくでしょう」(原研哉氏)

(*)「世界を豊かにする日本」を海外へ発信する「JAPAN HOUSE」。ロンドン,サンパウロ,ロサンゼルスの3都市にて開設。


それぞれの産地を知ることで、地域の個性に磨きがかかる

第二部は東京藝術大学大学美術館館長 秋元雄史さんがモデレーターをされ、GO FOR KOGEI プロデューサーの浦淳さん、各工芸祭の代表とのトークセッション「北陸の工芸祭の多様性と展望」を開催。土地の特色、工芸祭の内容を各代表が発表します。


第二部「北陸の工芸祭の多様性と展望」・各工芸祭の代表が一同に揃うのははじめてのこと

「今回のGO FOR KOGEIは、北陸の広いエリアで眺めて行くのが大事なポイントとなります。それぞれの力を持ってる場所が一つになって、連携する事でもっと工芸を今の時代にブラッシュアップしていきます。北陸の工芸は魅力を作り替えていきます。現代の工芸の魅力を感じてもらうのに伝統を超えた工芸の本質を伝えていきたいと思います」(GO FOR KOGEI プロデューサー浦淳氏)

「RENEW(リニュー)は毎年10月に開催している作り手の想い、背景を知ってもらう体感型のイベントで現在は80社が参加しており、これは国内最大規模となってます。福井は時代に合わせたものづくり、7つの伝統産業があります。RENEWに来てもらう事で福井のものづくりの解像度を3から300まで上げてもらえたらと思ってます。今回のGO FOR KOGEIをきっかけに『北陸に工芸あり!』と言われるようになって行きたいです」(RENEWディレクター新山直広氏)

石川 金沢の工芸はアート作品のようだったり、富山はガラスの産業として栄えてきた工芸の歴史。高岡は3つの国指定の伝統工芸があり分業のものづくりでコミュニティーが活性しているなど、それぞれの話から「地域個性を打ち出し、他を知ることでフィードバックをしていく」と、ここから北陸工芸がつながる展望を語り合いました。


予測を越えた表現が人の心を動かす

第三部もモデレーター秋元雄史さん、パネリストに原研哉さん、石川県小松で宿泊事業の新プロジェクトを手掛けられている建築家の山下保博さん、そして工芸ハッカソンプロデューサーである林口砂里さんとのトークセッション「北陸で出会う、工芸の可能性」。


トークセッション「北陸で出会う、工芸の可能性」の様子

建築家の山下保博さんが日本各地で手掛ける伝泊は「伝統的・伝説的な建築と集落と文化」を次の時代に伝えるため、自身の会社で宿泊施設を運営されてます。

「これからの地域観光は、その地域にある日常に参加してもらう体験型が主流になると思います。伝統的な空間や伝統的な工芸を、来た人々に体験してもらい、リピーターとなって帰ってきてもらう。それを可能とする伝統文化と日常こそが地域の宝物です」(建築家 山下保博氏)

工芸ハッカソンは、「工芸の新たな価値創造」をテーマに、工芸職人、クリエーター、エンジニア等がチームを組み、工芸の素材(金属や漆など)を使ったプロダクトやアート作品、伝統工芸の課題を解決するためのアプリやサービスを、アイデアを出し合い提案するプログラムです。今年の秋にはGO FOR KOGEI 特別バージョンとして北陸3県の工芸技術を用いて開催されます。


工芸ハッカソンから誕生した伝統工芸の「おりん」とIoTを組み合わせたプロダクト「結音(ゆいね)」

「テクノロジー、効率化の進む現代に足りてない部分は“美”だと考えます。言葉にしてしまうと陳腐化してしまう「空」や「無」を日本の伝統工芸は、美として具現化してくれる。予測を越えた表現が人の心を動かす。それが工芸の価値だと思います」(工芸ハッカソンプロデューサー 林口砂里氏)

2020年、『北陸工芸元年』の幕開け


フォーラム会場入り口

今年の夏から秋にかけて、工芸を通じた北陸を巡る旅の物語がはじまります。
北陸の土地で豊かな自然風土に育まれ、現代の暮らしや技術によって昇華しはじめている日本のものづくりの価値を、国内外の人達へ広く深く届けていきます。
多くの方が日本・北陸を訪れてくださる事を楽しみにお待ちしてます。

今後、展覧会会場や工房見学体験の情報更新を紹介していく予定です。
是非SNSをチェック頂けると嬉しいです。

GO FOR KOGEI 実行委員会

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