東京から金沢へ「国立工芸館」が移転・開館!

日本海側初の国立美術館となる「国立工芸館」が、10月25日(日)に東京から石川県に移転・開館しました。10月24日(土)には金沢市出羽町の同館で開館記念式典が行われ、国・県・市の行政と美術関係者など約70名が移転オープンを祝いました。

  • 「兼六園」に隣接する「本多の森」に開館した「国立工芸館」。建物は「旧陸軍第九師団司令部庁舎」と「旧陸軍金沢偕行社」を移築したもので、外観・館内ともに歴史を感じる建築も見どころ。

  • 開館記念のテープカットの様子。(画像提供:国立工芸館)

東京の旧工芸館の所蔵品約3,900点のうち、石川には日本芸術院会員と人間国宝の約1,400点を含む約1,900点が移され、旧陸軍の建物を移築した2階建ての館内は3つの展示室に加え、「漆聖(しっせい)」と呼ばれた金沢市出身の漆芸家・松田権六(ごんろく)の仕事場も移設されています。「工芸王国」といわれる石川県に開館した「国立工芸館」、これから世界に向けて匠の技・感性を発信する拠点としての飛躍が楽しみです。

  • 10月24日の開館記念式典・内見会で、作品を鑑賞する名誉館長に就任したサッカー元日本代表の中田英寿さん。(画像提供:国立工芸館)

  • 板谷波山「氷華彩磁唐花文花瓶」
    第1章:素材と技の因数分解は、漢字ばかりで難しい工芸作品の「名前」に着目して「素材」「わざ」から作品理解を深める企画。

  • 松田権六「蒔絵竹林文箱」
    「漆の神様」を意味する「漆聖(しっせい)」と呼ばれた蒔絵師で人間国宝の松田権六の作品。生い茂る竹林が描かれた天面、視点をずらして側面を見ると枝に止まった雀が。異なる加飾技法で奥行きを感じる作品。

  • 石川県金沢市出身の漆芸家・松田権六の仕事部屋も移設・展示されている。

移転開館の第一幕を飾る特別展「工の芸術― 素材・わざ・風土」では、近代日本工芸の名作約130点が展示され、自然とともに育まれた技の美が紹介されています。展示は第1章:素材と技の因数分解、第2章:「自然」のイメージを更新する、第3章:風土 場所ともので展開。前期10月25日〜11月29日、後期12月1日〜1月11日で一部の作品で展示替えも予定されています。展示作品はスマホアプリを使って解説を見る、聞くこともでき、帰宅してからじっくりと作品の振り返りにも利用できます。

  • 鈴木長吉「十二の鷹」
    1893年のシカゴ万博に出品された銅置物の12羽の鷹のうち、今回は3羽を展示。銅を中心に金・銀・赤銅・四分一(しぶいち)などの金属そのものの色を活かして色彩豊かに、生き生きと表現されている。

  • 初代宮川香山「鳩桜花図高浮彫花瓶」
    モズの巣を覗き込む鳩と、自分より何倍も大きな侵入者に向き合う雛の様子を立体的な装飾で作り上げた一対の花瓶。

  • 12名の工芸・美術家による新作制作プロジェクトの展示の一つ。竹で編まれた茶室も中の作品もプロジェクトで制作されたもの。
    出品作家:内田鋼一、和田均、水口咲、坂井直樹、須田悦弘、松崎森平、見附正康、津金日人夢 参考出品:石黒宗麿、内田繁

  • こちらも12名の工芸・美術家による新作制作プロジェクトで、立礼スタイルで茶道具が展示されている。
    出品作家:水口咲、今泉毅、新里明士、安藤源一郎、内田鋼一、三代 畠春斎 参考出品:Shimoo Design

特別展「工の芸術― 素材・わざ・風土」

会場:国立工芸館
会期:2020年10月25日(日)〜2021年1月11日(月・祝) ※会期中一部展示替あり
開館時間: 9:30 〜17:30 ※入館時間は閉館30分前まで
休館日:月曜(ただし10月26日、11月23日、1月11日は開館)、11月24日、年末年始(12月28日~1月1日)
観覧料:一般500円  大学生300円

チケット: 新型コロナウイルス感染症予防対策のため事前予約制

坂下有紀(つきといと/コミュニケーションディレクター)

富山県氷見市出身。石川県金沢市を拠点に活動する編集者・ライター・プランナー。タウン誌の編集者、ワイナリーや酒蔵勤務を経てフリーランスに。金沢暮らしは2008年から。学芸員・利酒師の資格も持つ、旅と歴史とお酒好き。陶芸・吹きガラス・漆芸・木工・金工・和紙と、興味のある工芸は自分でも挑戦してみるタイプ(そこそこ器用です)。