伊能一三
- 展示
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《へいわののりもの》というシリーズで、子鹿や子ども、犬や猫などの身近な存在をモチーフに、漆の乾漆技法を使った立体作品を制作している。近年は子鹿や子どもが多く見られ、小さな家族を連想される構成である。「へいわの」とあるように作風は、至って穏やかで、作品の周りには静かな時間が流れている。その静けさが伊能作品の最大の特徴であり、異なった作品であっても同一の時間が流れている。赤、黒の漆と金を使用した表面の仕上げであり、シンプルなものだ。西洋の人体彫刻とは明らかに異なる人体表現の特徴をもち、それは藤原時代の平安仏的な造形と言ってもいいものではないだろうか。