石渡結
- 展示
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石渡は、すべての布が織の構造からできていることに着目し、織物の技法を用いた布作品を手がけている。糸を撚り合わせ、土で糸を染めるところから制作をはじまる。0.5ミリメートルから1センチメートルの太さや質感の異なる糸を使用し、布の構造が現れるように織り続ける。文明が生まれる前の原初の美しさを、作品を通して追求していると石渡は言う。出展作品の《Tabula Rasa》はラテン語で「空白の板」を意味し、心や意識が芽生える前の、何も書き込まれていない状態を表す。身体スケールを超えた巨大な織物の塊には、未知の物体と対峙しているような、不思議な生命感が宿っている。